イタリア料理の基礎知識3 イタリア料理の歴史

イタリア料理の歴史〜西洋料理の母

古代ローマ時代といえばカエサルの美食の大競演の様子は世界史の授業でも出てくるほど有名ですね。
裕福な貴族達は、食事をより楽しくするために、食べては吐き、そしてまた食べるというなんともお行儀の悪い習慣がまかり通ってました。
このときすでにワインらしきものはあったのだと言うのだから、ワインの歴史は本当に古い。
古代ローマ人の台所は鍋や皿、お玉など一通り調理器具がそろい、肉や魚を食べていたことはポンペイの遺跡からも推測できるくらい彼らの暮らしぶりは進んでいたことがうかがえます。

フィレンツェドウオモとクーポラ

中世、他のヨーロッパ諸国が戦争をしているさなか、イタリアはいちはやく東方との交易によって商業が繁栄し、各地の諸都市が発展していきました。
たくさんの商人たちがいたなか、中でも金融業で大成功したフィレンツエの名門貴族メディチ家が、ルネッサンス期の華やかな時代を築いていきました。 そのメディチ家の王妃カトリーヌが14歳で(若い!)フランスのアンリ2世の元へ嫁いだ際、お抱えの料理人や菓子職人を引き連れていったのでその洗練されたスタイルや多様なレシピや料理が伝わり、のちのフランス料理に大きな影響を与えたという話は有名です。

意外な感じもしますが、ナイフやフォークを使って食事をするようになったのも、カトリーヌがフランスに嫁いでからなのだそうです。
甘党だった彼女はシャーベットやジャムやタルト類などのデザートをフランスに持ちこみ、ワインのマナーも彼女のスタイルを取り入れたそうです。

イタリア料理とトマト

いろいろなトマト いろいろなトマト いろいろなトマト

イタリア料理といえば「トマト」がまず第一に浮かぶ食材ですが、イタリア国内に自生していたわけではなく、この頃はまだ食べられていませんでした。
大航海時代にコロンブスが新大陸を発見し、南米からトマトや唐辛子やジャガイモを持って帰ってきたものの、最初は観賞用とされ、後に初めて食用としたのは16世紀ごろ当時まだスペイン王国の統治下にあったナポリ人だったといわれています。
パスタに欠かせないトマトソースも、作り出されたのは18世紀のことのようですので、ヨーロッパの長い歴史の中では以外にもトマトソースは新しい料理なんですね。
乾燥スパゲティはこの頃ナポリ周辺で生まれ、偶然と必然のめぐり合わせでスパゲティーとトマトソースと最強のコンビが誕生したのでした。

ペレグリーノ・アルトゥージ

L'Arte di mangiare bene アルトゥージの本(改訂版)の裏表紙 アルトゥージの写真

近代に入り、今から100年ほど前には銀行家で料理研究家、ペレグリーノ・アルトゥージ(1820-1911)がイタリア各地方料理 の資料をまとめ、「貴族の食」と「農民の食」を融合させました。
内容は単なるレシピ集ではなく、健康と食べ物の関係についてや食材に関する科学的知識やユーモアを交えた個人的なエピソードやうんちくも書かれていて、さながら「食のエッセイ」のよう。
各都市に存在する郷土料理を彼にとってなじみの深いトスカーナ、エミリア・ロマーニャ地方を主体にまとめ上げられ、この本に登場により「イタリア・食の統一」がなされました。

私が料理を習った先生のキッチンの棚にもたくさんの料理本が並ぶ中、アルトゥージの本はありました。
ノスタルジックな茶色く分厚い本はまるで台所のバイブルといった雰囲気で渋い存在感を放ってました。